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松本文六理事長の一言

地域医療研究会

明けましておめでとうございます。

 

 

医療法人財団天心堂 理事長 松本 文六

 

 

 

 2008年、医療・福祉・介護領域での制度疲労がもろにその姿を現し、マスメディアにおいても医療界で広く進行している"崩壊"の実態がようやく理解され始めました。

 わずか23年前には、医療機関バッシングとも言わんばかりの批判がマスメディアでなされてきていました。しかし、その主要な原因が、実は国の医療政策―医療費の抑制と医療費亡国論に基づく医師養成数の抑制という―にあったことがマスメディア関係者にもようやく見えてきた年とも言えます。更には、医療現場・福祉・介護現場が如何に疲弊して来ているかが社会(=国民)にも見えてきました。

これらをどうかしなければという流れが国民の中に出てきましたが、他方で、日本医師会を中心とする医療界のリーダーと称される人々や政治家達は未だにこれらの問題の本質を理解してさえいないと考えられます。

 医療・福祉・介護・教育・保育などの領域は、人間が生活する上でなくてはならない必要なものであり、人間が生きる上での必須のものです。これらの領域に、商売・ビジネスの論理と原理を政治が強引に導入したことによって"医療崩壊"は急速に進行しました。

 これに歯止めをかけることが如何に困難であるかは、1990年代にイギリスのサッチャーの行ったNational Health Service"改革"の結果を見れば明らかです。70年代に高く評価されていました《ゆりかごから墓場まで》というイギリスの医療は完全に崩壊してしまいました。その再建に取り組んだブレア首相は、2001年再選の折に、医療費総額と医師数を一挙に1.5倍にひきあげると公約を掲げ、再選を果たしました。しかし、未だにその傷は癒えていないといわれています。

 世界でも最も秀れていると評価されてきた(2000,WHO)日本の国民皆保険制度が、今や国の政策によって破壊されつつある現在、私たち医療関係者は何をなすべきなのでしょうか?

 多くの国民は、健康な状態に在る時には、医療・福祉・介護のことにはむしろ無関心です。自らが、あるいは身内の者あるいは親しい人などが病にかかり、介護を受ける事になって始めてその大切さに気づきます。それが故に、医療を変えることを国民に大きく期待しても何も変わらないと私は考えています。やはりそれを変える主体は、医療・福祉・介護を社会に提供する私たち医療・福祉・介護の従事者以外にはその担い手にはなりえないと思います。

 地域医療研究会に属されている病院・会員諸氏に、この点を強く訴えたい。それが、具体的な治療や介護行為という形での仕事を通しての社会に対する貢献ではなく、医療崩壊の実情を訴え、それを変えるためには何をなすべきかを考え行動するという社会的責任を果たすことになると思います。

 100年に1回とも呼ばれる金融危機の中で、企業の社会的責任(corporate social responsibility)が問われています。私たちはHealth Social Responsibilityという形で、その任を果たしたいものです。年頭に当り、それぞれの院所とその従事者に対し、かかる現実からの行動を提起したいと思います。

 無保険者を増やしてはならない!!

2009.1.19

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